2月に入り、暦の上では『春』とは言えど、まだまだ寒い日々が続いておりますが、皆様お変わりなくお元気にお過ごしでしょうか。
8月後半から強力なスイッチの入った大繁忙期は年末前までが大、大、繁忙期というとしたら、ただいま繁忙期は未だ継続中で、やはり沢山のご依頼に日々お応えしている日々です。
このところ続々と完成しているアウターに関して言えば、昨年11月末から12月のご依頼のもの。
当店の職人は繁忙期が長くて、フル稼働の上に、息抜きできる依頼は本当に少ない?もので、分厚くて解きにも相当な時間を要するもの、上質でシルエットが変わってしまったら台無し、肩にはお昼寝できるかも?というほどの懐かしのパットがしっかり入った時代を感じるもの(そのパットはそれだけを外しても形は崩れてしまうだけ)、大事な思い出のあるもの、ずっと大切にしたいのに、形もシルエットも変化して素材と思い出だけが綺麗なままというような
ほぼ全体を仕立て直しするような手間隙かかるご依頼が殆ど。
当店は熟練が解きの段階から完成まで一環して担当職人が担うという贅沢な贅沢な手法で1着1着を完成させていくこともあり、その1着を完成させるのもダダ~~ッとミシンをかけてというようなものでない。だからこそ、預けるお客様、承る職人、更に素敵に仕上げるための外部サポートもあわせて、皆が一緒に参加して完成させていくオーダーメイドといってもよいもの。
熟練とはいえ、日々刻々と変化する素材やデザイン、依頼も多岐に渡り、どんなに数をこなしてもそうくるのか?というような異素材同士のミックスだったり、立体裁断だったりとこれまでの常識を超えるものとも対面しながら、更に更に、うちの熟練の腕は磨かれているように思える。
他店では難しいとされる多くの依頼が多数ある中、ダウンのお直しなどは数え切れない程対応しているわけですが、昨年あった大掛かりなご依頼。
”ずっとずっと大事に着ていたメンズのダウンが何を変わりに購入しても、追いつかない程に軽くて暖かくて、もっと着たい、でも表面も裏地もボロボロ。。イメージはお任せするので着らるようになったらいいから生地の張替えができないか?”というものでした。
相談があったのは2014の夏。
未だ暑い時期でしたが、どうしても”のK様の依頼に職人さんとも打ち合わせて、なかなか一筋縄ではいかなそうな依頼に、職人さんもう~んという状態でしたが、熱意に応えてできる限り!で対応してみることに。
パッチワークの施されたダウンで裏表シルク張りがされておりましたが、この両面シルクとなります場合にまず、手に入れられえる限界もあり、幾度か問屋さんに行きながらイメージを考え、K様と刷り合わせていきました。
夏の間、何度か店の合間に(あらゆる生地を扱う問屋に出向き生地の相談と仕入れ可能なものとそうでないもの、耐久性など含めて相談しつつ、表地と裏地を決定。
まずは表面的にもシルクを使うとどうしても強度的にぴったりするものが無かった、ので、表面はダウン素材に多数用いるタフタを使用することにして、裏側はシルク仕様に決定!肌に近い部分の着心地と包まれるような暖かさも実現して差し上げたくて。
元々メンズ仕様を女性のK様が緩めに気軽に着ているものですが、今回メンズライクなイメージは残しつつも、裏側には少し女性らしさと入れてみることに。沢山の見本からK様に選んでいただいて、ブラウン×ピンクで進行決定!!
パッチワーク部分はツィード素材にしてみました。今回帽子はもともとのファーの劣化もあり無くしてすっきりさせました。
今回あえて総取替えをするのならば
加えてみたかったチラッと女性らしさ”とはいえ、媚びもなく自然にそれでいて何となく女性らならばきっと誰もが好きな色で。当初はグリーン系のお色を選ばれたK様でしたが、途中やっぱり!!『ピンクにします!』と決定したもの。本人もとってもお気に入りのカラ-合わせとなりました。
そのままに使い続けていけるものは残して継続 、元々使われている(ダブルジッパー)でごっついファスナーですが長年このダウンで働いてきましたが、もう何年か継続して働いてもらうことに決定。
実はこの解体は9月後半に行い、生地の仕入れを終えて、という流れで進み途中からの大大大繁忙期も同時に迎えて、担当の職人Mさんも大掛かりな分解にはだいぶ難航したようで
どれだけの難関を越えてきたかという当店の職人さんも2014年の中でもかなりの”大物”だったようです。それでも冬の間に渡してあげたいですね、と頑張ってくれ2014年の暮れに最終お渡ししたのがKさんのこのリメイクダウンでした。
あまりの忙しさでFBにすらご紹介できない依頼も多数のなか、2014年の〆といっても過言でない懇親のリメイク、記念に忘れずに記しておこう、K様の満面の笑顔とご感想と一緒に。
本当に出来上がってよかった!喜んでいただけて良かった!
以下K様からのメッセージ☆☆::::::::::::::::::::::::::::::
超寒がりな私は約10年前に買ったイタリア製の紳士物のダウンジャケットを大切に着ていましたが、袖口や裏地がボロボロになってしまい同じような物を探し ても見つからず、仕方なくバ-バリ-のダウンジャケットを買ったものの保温性は全く劣っている上に、不覚にも買った年に愛猫に傷物にされ、メ-カ-でも直 せるかどうかわからないと言われ困っていましたが、レギュイド-ルをネットで見つけて直していただきました。
そこで、ここなら私のダウンジャケットを復活させてもらえるかも…と思いオーナーの純さんに相談したところ、私の切なる思いを引き受けていただける事になり、またあの暖かいダウンジャケットが着られるようになると思うとそれだけで大感激でした。
日本では同じような生地が入手出来ないとの事で風合いは全く変わりましたが、紳士物だったのがとても可愛い婦人物のダウンジャケットになって帰って来ました。
特にピンクの裏地の色が絶妙です。
また10年、寒い冬を暖かく過ごせそうです。
純さん、職人さんありがとうございました。
また大切なお洋服に何かあったらよろしくお願いいたします N.K
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