この冬眠っていたコートが一着よみがえりました。
眠っていた、というかほぼ仮死状態だったといってもいいかも。
母からバブル直後に買ったカシミアの、それも一枚仕立てのコートを譲り受けました。
当時半額セールでもン十万はしたものです。
黒のロングコートで、「長さ的にも身長のあるあなたの方が似合うわ」、
と譲り受けて、一緒にフランスに渡ったのですが……
10年間一度も着ず…。
着ようとしても、着た瞬間鏡をみて、速攻脱いでしまい、結局毎回違うコートで出かけてしまいます。
着られない理由はなんなのか?
それは、90年代前半から半ばを知っている方はよくご存知だと思いますけれど、あの肩パット。
サイボーグのように肩幅があって、逆三角形に見えちゃうようなタイプです。
今、ホント恥ずかしくてとても着られません(笑)。
おまけに今好きじゃない、ダブル。
とはいっても、大好きなカシミア素材、そうなかなか処分ができないんですよね~。
そうしたら、お友達が表参道にお直しサロンをオープンしたということなので、
去年夏に帰ったときにさっそく(子供を連れて)遊びに行くことに。
実は、純さんのサロンへお邪魔した後、別なじゅんさんと子連れランチをしたのですが、帰りに息子のキャップ紛失が発覚。レストランにもない、純さんのサロンにも電話して、ないのを確認して、道すがらで落としたのかな~(でもありえん)、と思っていたら……純さんから数日後に連絡があり。
こんなところに隠されていたそうです。笑
純さんのサロンで飾ってあった帽子の下に。これは大笑いした話。
話は戻って、そのときはコートをどうするか決めてなかったので、まずは軽く純さんにご相談。
実際は、秋にもう一度日本に帰った時に、コートを持って帰りました。
その前に、写真を送ったのですが…
「このすごーい肩パッドは永遠にファッションとして復活しませんから」とはっきり言われました。
ま、ずっとこのまま持っていても意味はないってことですよね。
5日間の日本滞在だったので、「この日のこの時間帯しかない」とわがままをいい(笑)、担当の職人さんにもお声をかけてくださって、無事にチェックができました。
ベテラン職人のKさんも、純さんも、コートに触れた瞬間、
「この素材は素晴らしい!これを直さないのはもったいない!」とおっしゃってました。
今は同じ素材で、同じブランドだったとしても、あの時代と全然素材感が違うそうです。
「これはいいカシミアで、バブル時代だったら100万円するわよ」とKさん。
直さないともったいないし、長く着たいものね~。
わたしの要望は、まずメンズタイプのダブルを、シングルに。
そしてローブっぽくベルトをつけて(ウエストを締めて)着たかったこと。
ミリタリーのメンズタイプのダブルは永遠にわたしは着ないので、シングルに。
年齢とともに似合うし、パリのマダムは本当にこういうタイプを着ている人が多い。
(年齢が上がるにつれて割合が増える)
そうしたら、さすが純さん、
「シングルのシンプルのラインもステキだし、ベルトありでもなしでも両方行けるように作りましょう!」
と提案してくれました。
ベルトなしでもいけるように、ベルト通しもあえて作らず、ダブルをシングルにして切り取った生地でベルトを作ってもらえることに!
5日の滞在だったため、どちらにしても完成時には日本にいないので、来シーズン着るつもりでおりました。
ましてや一枚仕立てで全部手縫いですから、Kさんも相当時間かかりますしね。
で…今年の頭までに仕上げて下さり、結局ネイリストの知人に届けてもらいました~。
来シーズンと思ってたものが、今シーズンから着られるのでうれしい!
が、それから体調を壊し、雪や雨は降り…とカシミアコートを着る機会は全くなかったのですが、とうとうお直し後デビューしました
このようにパリでは年配マダムらしく、しっかりローブのようにベルトをしめて着ています。
いやー、この寒さもあって、最近はロングが大好き。
おまけに嫌だったダブルコートがシングルになって、着やすさ合わせやすさがバツグンになりました。
(わたし体型も雰囲気もマニッシュなので、これでダブルを着るとかなりメンズっぽくなるから、やっぱりどこかでフェミニンさがほしいんだな~。笑)
一生着ないかもと思っていたコートがこんなふうに再生されて、また着られるようになり、ホント純さん、Kさんには感謝、感謝!
パリは肌寒い日が続くので、春でもしばらく着られそうです~。
パリでばっちり長く長く活用しますよ!
本当にありがとうございました~。
[ 今回のコートリメイク お直し箇所について ]
○ ダブル仕立てをシングルに
○ 襟サイズ、デザイン変更
○ 肩巾、身巾つめ
○ 背中脇調整
○ ベルト作成
○ 身巾調整
※ リバーシブル仕立て(一枚仕立て)のため全工程手縫いで仕上げております。